2005年04月03日

過労自殺>東京地裁が派遣労働者に認定、全国初

名古屋市の業務請負会社ネクスター(現アテスト)から、光学機器大手ニコン(東京都千代田区)の埼玉県内の工場に送り込まれたネクスター社員が自殺したのは過労が原因として、遺族が両社に1億4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。芝田俊文裁判長は「業務の過重性に基づくうつ病が自殺の主要な原因」と、両社が安全配慮義務を怠った末の過労自殺と認め、両社に連帯して2490万円を支払うよう命じた。
実質的な派遣労働者の過労自殺認定は全国で初めて。

判決はさらに、社員について「ニコン社員から業務上の指示を直接受けていた」と認定。ニコンから指示を受けた場合は、労働者派遣法上の「派遣」に当たり、派遣業の登録をしていない業務請負会社が派遣を行った場合、違法となる。当時、同法では製造業への派遣を禁じており、二重の法令違反があったことになる。こうした、業務請負会社による違法な派遣業は「偽装請負」と呼ばれ、業務請負に直接関係する法令が整備されていない中で横行しているとされ、判決は国の労働政策にも警鐘を鳴らすものとなった。

判決などによると、自殺した派遣社員は、97年にネクスターに就職し、ニコン熊谷製作所に送られ、昼夜2交代制で製品の最終検査を担当していたが、99年3月に自宅マンションで自殺しているのが見つかった。死亡直前の2月の1週間は2度の休日を返上し、1日平均12時間を超す労働で、クリーンルームと呼ばれる閉鎖的な空間で、防塵(ぼうじん)服を着てほとんど立ちっ放しの作業をしていた。ネクター側はアテストは即日控訴した。

業務請負
アウトソーシング(外部委託)の一種で、製造・営業など業務を一括して請け負う。人材の受け入れ先企業の指示に従う「派遣」と違い、業務終了まで請負会社が直接、労働者を指揮命令する。業務請負は派遣業のように国の許可がいらないことから、派遣の受け入れが禁止されていた製造業で広がった(04年3月に派遣解禁)。
毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050331-00000090-mai-soci




securitygoods at 19:23│ 過労死 
最新記事
月別アーカイブ