2005年01月23日

偽造事件への金融機関の対応、『銀行、損失補填せよ』と被害者怒りあらわに

キャッシュカードのスキミングがついに刑事事件となった。金融機関側もようやく重い腰を上げたが、ある被害者は、『金融機関は預金者の自己責任と主張するが、対策が遅れている銀行にも責任はある。損失を補償すべきだ。』と怒りをあらわにする。


被害にあった関東在住の男性は昨年6月、口座を開く銀行から、『あなたがATM(現金自動受払機)で依頼した振込先の口座が見つからない。口座から次々と金が引き出されている。』と電話を受けた。心当たりはなかった。通帳を確認すると、3〜4日前に東京都と静岡県のATMから約700万円が引き出され、残金は6000円足らずとなっていた。

銀行の支店長と担当者が自宅を訪れた。
補償を求めると、同情的だった支店長らの態度は硬化。
『銀行にミスがない場合は自己責任です。』と告げた。
『カードは手元にあるのに、私に何の非があるんだ。』と反論したが、
支店長は、『おれおれ詐欺のようなもの。私ならあきらめます。』と言った。

男性がカードを体から離したのは、
神奈川県内のゴルフ場で貴重品ロッカーに財布を預けた時ぐらい。
カードとロッカーの暗証番号は誕生日の一部を使った同じ番号。
警察は『ゴルフ場でスキミング被害に遭ったのだろう』と言った。

これまでキャッシュカードのスキミング事件の捜査が進まなかった一因は、
偽造カードを作られた被害者は銀行で、金を引き出された被害者はATMを管理する銀行という点だ。 預金を引き出されても懐が痛まない銀行側の被害者意識は薄く、クレジットカード被害の補償が進んだ信販業界に比べ対策は遅れた。

全国銀行協会は、『顧客が暗証番号の管理さえしていれば、現金が引き出されることはない。番号が盗まれた原因がはっきりしない場合は対応できない』と説明していた。しかし被害の急増で昨年6月、銀行から被害届を出すことを申し合わせた。

今月になって金融庁も重い腰を上げ、銀行法を改正して金融機関に被害者救済を義務付ける方向で検討している。
被害に遭った男性は、『クレジットカードの買い物なら補償されるが、キャッシュカードにはない。引き出し限度額も青天井だった。なぜ利率が低い銀行に大切な金を預けているのか考えてほしい』と憤っている。

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