2018年12月31日

保釈率10年で2倍 裁判員裁判影響、再犯懸念の声も

刑事裁判で起訴後に保釈された被告の割合を示す「保釈率」が年々上昇している。平成28年は28.8%と10年前の約2倍になった。裁判員裁判の導入で事件の証拠整理が進み、被告の拘束の必要性が薄れていることなどが上昇の要因とみられる。刑事裁判の原則に沿った傾向ではあるが、保釈中の被告が別の犯罪を起こすケースも各地で発生しており、捜査関係者からは懸念の声もあがる。

最新の29年版犯罪白書によると、28年の1年間で各地裁で第1審があった刑事事件の被告は約5万3千人。起訴時に勾留されていたのは約4万人で、そのうち約1万2千人が起訴後に保釈が認められており、保釈率は28.8%。14.8%だった18年のほぼ2倍となっている。

上昇の要因の一つとされるのは平成21年から始まった裁判員裁判。具体的には、公判前に検察側が証拠を示し弁護側が争い方を決める「公判前整理手続き」だ。公判前に多くの証拠が出そろうので証拠隠滅の可能性が低くなり、弁護側が被告との打ち合わせの機会を確保する必要性があるため、身体拘束を解く傾向が強まったとされる。

保釈の運用をめぐっては、被告が起訴内容を否認すれば身体拘束は長期化するとして、日本弁護士連合会が「密室での身体拘束を続け、自白を迫る人質司法」と批判してきた。

だが、最近は保釈中の被告による事件が各地で発生している。

大阪府警は10月、保釈中に出店荒らしなど計82件(被害総額約540万円相当)を繰り返していた男(36)を、窃盗や建造物侵入容疑で逮捕、送検したと発表した。

この男は昨年6月、窃盗罪などで懲役4年の実刑判決を受けたが、控訴後に保釈。判決が確定したにもかかわらず逃げ続け、「追跡から逃れるためには自宅にいられない。ホテル代や交際相手との遊興費を稼ぐために窃盗を繰り返した」と話しているという。

また、和歌山市で28年8月、拳銃で4人が殺傷された事件で、集合住宅に立てこもった後に自殺した男=当時(45)=は、覚せい剤取締法違反罪で起訴後に保釈中で、事件当日は、実刑判決を受けて収監される予定だった。

犯罪白書によると、28年の1年間で、保釈中に起こした別の事件で起訴されたのは162人。前年からは26人減少したものの、10年前と比べると倍以上になっている。

大阪府警の関係者は「保釈されなければ防げていたのは事実だ」と指摘。「保釈の基準が緩くなり過ぎれば、治安の悪化につながりかねない」と懸念する。

2018/12/27産経新聞

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